ねぇねぇ、幼馴染っていったいなんなんだろうね。

こんなに微妙なくらいなら
もういっそ


無関係のほうがよかった。


とか、言える強さがあったらいいのに。








なにかが始まって、そして終わった6日前









どれだけぶりだろう。

カカシに話かけるのは。



私は気配を探って、木の影に寝そべっているカカシを見つけた。
顔の上にはイチャパラがのっていて、一応寝ているというアピールをしている。
しかし、私はそんなことにはおかまいなしでその姿に声をかけた。


「ねぇカカシ、起きてるんでしょ?」


とっくに気づいてるはずなのに、知らないフリをしたカカシは
きっと久しぶりだから、あくまで私の出方を探ってるんだと思う。


「あらま。バレちゃってた?」


カカシは額あてのない顔に乗っかっていた本を、
口布が首もとまで下げられている今、鼻の頭が見えないくらいまでどかして
つぶっていない方の右目で私を見上げながら、眠たそうに返事をした。


「そりゃあね、カカシだもん。」


言葉をかわすのも本当にどれくらいぶりだろってくらい久しぶりで。
いつも遠目から見ていた姿が、今は瞳に映る。


声をかけたのは私の方だけど、
お互いに距離感が掴めずに、間には微妙な空気が流れた。



そして、先にきっかけをつかんだのはカカシの方。


「久しぶりだねぇ、。」

「うん、何年ぶりだろうね。」


そう言わなきゃいけないように、カカシは口にしたが
結局は言ってみたところでやっぱりそこで言葉は途切れた。



言わなくちゃ。

が覚悟を決めて辺りの空気を静かに吸い込んだのと、
カカシが聞いたのはほぼ同時だった。



「で?が久しぶりにオレになんの用?」

優しく言いながら私には、まさか用もないのにオマエがオレに話かけてこないよね?
と、言っているように聞こえる。

勝手な解釈だと思いつつもやっぱり、今でもカカシの言葉は私の心に突き刺さるみたいだった。



・・・・この人と私。本当に幼なじみだったんだよなぁ。




不意に鼻の奥がツンとする感覚が私を襲ったけど、今はそんなことにとらわれている場合じゃない。
それに、私にはそれ以前の思い出と強い気持ちがある。
今よりも随分とスムーズに会話をしていたころを思い出してようやく言いたかった事が言えた。





「私の彼氏になって欲しいの。」







口から出た瞬間から、私たちの時はさかのぼった。

ずっとずっと、言えなかった言葉たち。


「・・・・えーっと・・・今、なんて?」


唐突すぎる状況に、いくら忍として優秀で名が通っているカカシでも
理解が出来ないようだった。

とっさに出た言葉にしては、きちんと意味をなしていたところがさすがと言いたいが
やはり少しの間が抜けた感じは隠せない。


結局、本当のことを言う勇気なんてないんだけどね。

「だから、カカシにね。彼氏になって欲しいの・・・1週間の間だけ。」

ちゃんと、笑えてるかな。
なんでもないフリ、出来てるかな。


・・・あのね、ちゃんとわかるよーに説明してちょーだいよ。」

初めは少々取り乱しはしたものの、すぐに立て直すところはやっぱり上忍。


「1週間だけ、フリをして欲しいんだ。私、お見合いさせられそうでさ?」

そう言って自分の身に降りかかった厄介ごとに、
苦笑いを浮かべると

それだけで、カカシは事態を掌握したようだった。


「ぁー・・・・それが目的ね。オレを使ってお見合い断ろうって腹?」

「うん、そう。」


ちゃんと報酬は出すよ。
と、内容だけで断られる前に私はそう付け加えた。


カカシは少し考えるような素振りをみせて、
本の下で口布を上げると、本をどけて起き上がった。


「ん、いーよ。フリでイイんだよね?」


私の方を見ないまま、その瞳の片方は額あてで隠れて
今度は私を見下ろす形になってようやく、もう1度カカシは私を見た。


断られるかと思ったのに、案外あっさりと話は進んだことに私が驚きながら
徐々に主導権はカカシの方に移っていった。


「彼氏のフリって?実際なにやればイイわけ?」

「えーっと。」

「報酬は?あ、身体で払ってくれるとかそういうカンジ?」


「ぇ、」


「なぁーんてね。ジョーダン。」



からかうように、微笑むカカシ。


その表情が、ほとんど隠されているにもかかわらず
昔はよく見ていた素顔から想像して


一瞬でもそれでもいいと思ってしまった私は、バカだろうか。



「とりあえず、デートでもしとく?」

「あ、うん。」

「じゃ、明日家まで迎えにいくから。家、変わってないんでしょ?」

「うん。」

じゃあまた明日、といってカカシは忍らしくその場から去った。





恋人のフリをして欲しい、だなんて。


そんな嘘つかなくったってイイのにね?


さーて、アイツは一体なにがしたいのやら。

の目的がなんとなくわからなくもなかったが、そこに思いを馳せみて
カカシは途端に気乗りしなくてすぐにやめた。







一方では、

「はぁぁ〜〜〜〜〜」

緊張した。
今までないくらいそりゃあ緊張した。

いいよって言ってくれるとは思ってなかったから、
後半はうん、しか言えてなかったような気がする。


はかまわずその場にへたりこんで、

とりあえず詰めていた息を吐き出した。



何回か繰り返した深呼吸のおかげでどうにか落ち着いた。


まぁ、でも言いたいことは・・・とりあえず言えたし。

やりたいことも、とりあえずは出来た


のかな?


少し震える手のひらをぐっと握り締めて、
頭の隅でおもった。


でも・・・・ないな。



私とカカシとの関係は再び始まったようにみえたけど、終わった。

これはカウントダウンだ。




終わりにむけての。




ねぇ、カカシ。
今度こそちゃんとおしまいにできるかな。



あと、6日。






あんまり間をあけずに更新したいです。
にしても、どうしてこうも悲壮感ただようかんじになりがちなのか・・・。

ただ、行き着く先はハッピーエンドだと信じたい(オイ