【カカシの場合】



「・・・カカシさん?」

カカシさんには珍しく小さく歩く音をたてながら、少し離れて向かい合う形で座った。
そしてこれもまた珍しくその手にはいつもの愛読書がない。

なぜかひじをついた掌に素顔のあごをのせて、先ほどからじっとこちらを見ている。

「え、あの〜・・・私の顔になにかついてます?」

落ち着かなくて、そわそわとしながら言ってもカカシさんは何も言ってくれず引き続き沈黙を貫いている。
今の自分は絶対に顔が赤い。カカシさんに見られてると思うといつもそうだ。しかも今は惜しみなく素顔をさらしている。
恥ずかしくて、なんだかいたたまれない気持ちになってどうしても下を向いてしまう。


「ハイ、のまーけ。」


「・・・・ぇ?」

あたたかな頭の感触に顔を上げれば、嬉しそうに笑うカカシさんの顔が目の前にあった。
あの、これってどういう・・・?

目で訴えてみるが、忍ではない自分の考えなどそう上手く伝わる訳もなく。
ただ、満足そうに頭をなでるカカシさんに身をまかせていた。



「オレから目、そらしちゃダメでしょ?」



ぐっと距離を縮めて耳元でそう囁かれると、納得できるようなできないような。
それでも私の顔はどんどん熱くなっていくのはわかる。

そんな私のおでこに軽くキスをするカカシさんを、簡単に許せてしまう自分に
改めて気持ちの大きさを思い知らされる。


カカシさんて、いつもずるい。