別に、こんな風にしたかった訳じゃない。

アイツ見てるといっつも、



オレのすべてがチグハグ。







追いつめたくて







「はい、それじゃあこれでHRを終わります。皆、気をつけて帰ってね。」


このクラスの担任であるの言葉が終わると同時に日直が号令をかけ、その日の時間割は全て終了した。

は毎日物の見事に逃げてくれる目当ての人物を、今日は逃がさないようにと
まだ他の生徒の大半が帰り支度をしている中、座席に向かう。



清春にとってそれが昨日なら

もしくは明日なら


なんの問題もなく、いつもの追いかけっこを始められたはずなのに。



今日は生憎、との日常はかなわなかった。



「ぁ、あの・・・きよ・・・はるく・・・」

は清春との距離を縮めようとして、その先の光景を見てそれからやめた。


「センセ?どーしたの、ポペラ顔色悪いよぉ?」

「そうだぞ、担任。具合でも悪いのか?」


「んーん。何でもないの。」

なんでもないと言う言葉とは正反対の表情をしている
しかし、当の本人はそのことに気づいてもいないのか

それで自分自身も誤魔化せると思っているらしい。



「あ、これ清春くんに渡しておいてくれる?それから今日の補習はお休みだって伝えて。
 
 それじゃあ、悟郎くんに翼くんさようなら。気をつけて帰るのよ。」


「あ!センセ!!」
「・・・おい、担任。」


偶然話しかけてきた翼と悟郎に、手にしていた袋をそのまま押し付けはその場を去っていく。

突然の状況に、不思議に思いながら
今の今までのの視線の先だった場所を、2人でたどってみるとそこには


清春


と、それぞれに色とりどりの包装紙を手にして取り巻く女子たち。



「あー・・・そういう訳ね。ゴロチャン、パラッペわかっちゃった。」

「担任のやつ・・・バカか?」


今日がなんの日なのかを知っている翼と悟郎は、
袋の中身を覗き込んだ後、お互いに目を合わせるとため息をついた。


「ツバサーキヨの誕生日のお祝いバカサイユでやろうって話、どーする?」

「せっかく担任をこの俺自ら誘ってやろうという計画を・・・おい、」


翼が当たり前のようにいつもの調子で永田を呼ぼうとしていたその時、
清春を纏う空気が急に冷たくなった。


それに気づかずに、そのまま取り巻きたちは清春を囲んでいる。


「あの、仙道くん?これ」

「仙道くん、お誕生日おめでとう。プレゼント、受け取って?」




「・・・どけ、テメェら。」




「え?」

「さっさとオレサマの前カラ消えろッて言ってンのが聞こえネェのか?」

「あ、あの・・・仙道くん?どうし」




「制服水浸しにされたくなかったら今スグに去れ。目障りだ。」




B6のメンバーでさえ聞いたこともないような冷たい声が、しんとした教室に響く。


固まった女子たちをその場に残し、
清春は翼たちの前を無言で通り過ぎが出て行ったドアへと向かった。




「キーヨ!」

「バカサイユで待っているぞ。」


「・・・わりィ。」


振り返り、それだけ言うと持ち前の俊足をいかして清春は職員室へと伸びる廊下を一気に駆け抜けた。




うるさい女たちの間から見えたブチャとカベたちのやりとりで、

戸惑っていた気持ちにあっという間に名前がついた。



納得して
そしたら、うっとーしい女どもがもっとメンドーになって。




追いかけなきゃって思った。




まァ、オレサマだし?
すぐに追いつめてェに、思い直したンだけどよ。



「あァ〜〜くっそ!!あンのブチャイク、どこ行きやがった!!!」


イライラしながらも、さらに速度を増す脚。


って、見つけた。



「オイ。」

の姿が視界に入ると、清春は歩みを止めた。


「オイ!そこの子豚教師、ちょっと止まれ。」


それでも静かに廊下を進むに焦れた清春。
「・・・チッ。」




!テメェ、聞こえてンダロ。止まれッつってンだよ!!」





開いていた距離を一気に縮め
清春はの肩を無理矢理掴み、自分の方へと振り向かせると


今にもこぼれそうなほど涙を浮かべて、まっすぐにこちらを睨みあげる瞳と目が合った。




ヘぇーコイツ、ンな顔も出来んのか。



「生徒が教師を呼び捨てにしてもいいと思ってるの?」

「はァ?なに言ってやがンだテメー。」

「清春くん、今すぐ訂正しなさい。」

「なァーに怒ってんだよ。まーさかブチャ、さっきのに妬いたンか?んん?」


カワイイとこあンじゃネェーの。



ニヤニヤと、得意のイタズラを思いついたときのように笑いながら
徐々にを廊下の端へと追いやる清春。

それに気がつかないは、さらに憤慨しながら言葉を重ねる。



「仙道くん、からかうのもいい加減にして。私は貴方の担任、」



急に清春から笑顔が消える。




ダンッ!


言葉途中に、追いつめたの顔の横にある壁に拳を叩きつけた。





「言っとくけどナァ。生徒も教師もオレサマには知ったこっちゃねェーよ。」





「そ、んな!無茶苦茶よ。」

勢いに押されて怯んでいただったが、
次第に置かれている状況に慣れてきたのか負けまいと必死に言い返す。


「ふざけるのも大概にして。」






「ふざけてなンかねぇ。オレはいつだって真剣なンだよ、先生。」



―ちゅっ。





隙だらけのに清春はすかさず己の唇を軽く重ねた。



「なァ、知ってっか?今日はこのオレッサマがこの世に生まれた、それはそれはスッバラシーイ日なんだゼ。」



耳元で囁きながら離れた拍子に見上げた清春のニヤリと笑う顔に、

ようやくはついさっき起こった出来事を知ると
思い出したように目の前に迫る胸を押し退けてその場を去った。



下を向いていたその表情は、わからない。

それでも慌てた後ろ姿が見えなくなるまで、清春はその場を動かなかった。




アイツが聖帝に現れてからまだ1ヶ月とちょっと。

補習、補習ってウルセーし。
どンだけイタズラ仕掛けて煙に巻いても追っかけてきやがって、うッぜーって思ってたンによォ。



気づいたら

・・・・なンだ、コレ。


他のヤツらにちょっかいかけられてンのが、スッゲー気に食わねェ。
去年のオレッサマならありえねぇッつーの。



「・・・まァ、今年の誕生日はこれで我慢してやるとすッか。」



手には教室を飛び出す時に無理矢理翼から渡された、からの『本来の』誕生日プレゼント。


唇には感触もほとんど残らないような、キス。



「さっさと気づけよなァ、こーのブチャイク子豚が。」

ま、アイツのそーゆートコがからかいがいがあっておもしれェんだけどよ。




「いや、アイツには卒業までじッッくり時間をかけてじわじわとしかけてやっかなァ、クククッ。」




もっとオレサマを追いかけてこいよ。
補習、補習って。

オレがオマエを追いかけてンのがバレんダローが。



後ろ姿見んのは授業中だけで十分だッつーの。




水鉄砲を肩に置きながら、廊下を歩く清春の口元は片方だけが意地悪くあがっていた。


少しずつ毎日が変わっていく。

きっと
気づいてしまったが運のつき。


・・・・いや、始まりか?









キヨ〜〜〜はぴば!!!!
当サイト初めてキヨの誕生日を向かえました。
・・・なのにこの体たらく(汗
短い上に間に合ってすらいねぇ・・・・orz
ごめん、でもスキ。キヨのおかげで色んな道筋が出来たんだ・・・ゼwww
そのおかげで悲鳴だらけなんですけど。ホント色んな意味でw

5月の時点でキヨが先生を好きだと認識するのには無理があるかなぁ、とも思ったのですが
意外に早い段階でキヨに気持ちを自覚してもらうのもなくはないな、と。

わざと告白してからかったりしたのも、素直にぶつかってくだけるのが怖かったのを隠すためとか
先生がちょっとは自分をそういう風に意識してくれてるかどうか試すため、
もしくはそれをきっかけに、先生に男として意識して欲しいというキヨの願望の現われだったら
萌えるじゃないですか、なんてこったい。的なワタクシの強引すぎる解釈のもと
今回のお話は成り立ちました。(説明が長い!!!(汗))
そこであのエンディングww・・・・萌えすぎますて。

でも、キヨがああいう風にオンオフあるのは裏に色んな気持ちがあるからだと信じたい。(特にツンっツンなキヨ)
というか、そのほうがこっちが萌えるってだけなんですけどねww
単に性格がひねくれてるだけじゃ、絶対ないと思うんです。
まぁ、みなさんそんなこと納得済みでお好きなんでしょうけど(あえて語ってみました

何度も言うようですが、そのほうが気持ちがたぎるからです。
ええ、こっち側の問題ですww
わーあとがきがメンドクサイことになってる〜〜すみません。