*このお話は当サイトオリジナルのキャラであるムサシが全力で前面に出ています。
*なので、オリキャラはある程度なら許せるけど話の中心になっているのは無理だという方、
*今すぐにブラウザを閉じてください。この話を読まなくても今後に支障はまったくありません。





俺だって、アイツと同じくらいそばでお前を見てきたつもりだ。


なんだろうな、
今じゃ隣にいたいって気持ちは誰よりも強い気がする。






ライバルに昇格したつもり







「んじゃ、いってきまーす。」

「はい、いってらっしゃいv」



いつものようにカカシを見送って、はいつものように家事にとりかかろうとした。

「さぁーってと、今日もがんば・・・・ろ」



そこでふと、感じた下からの視線。


「ん?なんかあった、ムサシくん。」

「いや。お前いつも偉いよな、と思って。」

「え、なにが?」


「家事とか、誰になに言われるでもなくいつもちゃんと手抜かないでやってるだろ?」


当たり前のことみたいに普通にやってるから、それってすごく偉いなと思ったんだ。と、淡々と言葉を告げるムサシ。
突然褒められたことにびっくりしたは、おもわずしゃがんでその目線を同じにした。


「え・・・っとー。どしたの急に?そんな褒めても残念ながらなんにもないよ。」

「あー・・・・あ?」

ほぼ無意識に口にしていたムサシは、
今さらながら自分の言ったことに考えが至り目を見開いて、大いに慌てた。


「い、いいいいいいや。違うんだ!じゃなくて、違わないけどだな!!別になにかあったとかそういう訳じゃなくて」



ムサシとしては、ふと心に浮かんだことにすぎなかったのに
まさかこんなに恥ずかしい展開になるとは思ってもみなかった。


どことなくお互い顔を赤くしたまま、
しばし無言の空気が流れた。



「そ、掃除しよーっと!」

「ぁあ!それがいい。俺はその辺で寝るとするかな。」



あ〜びっくりした。

・・・・・でも、なんかすっごく嬉しいかも。








それからいつものように家事をすませ、
買い物に出たいというの言葉でムサシは立ち上がった。

さすがにもう照れあうことはなかったが、・・・・・


がいつもよりにこにこしていたような気がしたのは気のせいだろうか?



「おじさーん、白菜半分と大根1本ください!」

「いつも元気だねぇ、ちゃん。」


いつものように買い物をしながら、と2人町を歩いていた。


「この世界ってさ、パッと見平和だよね。」

「なんだ、いきなり。」


なんとなく〜と半分鼻歌まじりに、
今日の晩御飯の材料をかかえて言うは、どこか幸せそうだ。


「俺にしたら、カカシとお前が笑ってればそれで平和だけどな。」



「なーに、いきなり。」

「なんとなく、だ。」


クスクスと、2人で笑っているとちょうど子どもたちの集団とすれちがった。

と俺は脇にどいて道をあけるも、そのうちの1人がにぶつかってしまった。


「わっ!」

!」

ムサシが咄嗟に動くも、掴もうとした自分の手は犬のもの。
いくら器用なムサシでも人であるの身体を抱きとめることは出来なかった。


「・・・・・ってテテテ。」

「ごめんなさい!おねえさん、あの・・・・」


ぶつかった子だけでなく、一緒に歩いていた子たちみんなが心配そうにを見る。

は自分の膝を見て、ようやく心配そうな表情の訳を理解した。



「あー・・・大丈夫。へーきへーき。」

「でっ、でもおねえさんけがしてる。」

「このくらい、大丈夫!ちょっと血が出てるけど多分歩けるし。ちゃんと謝ってくれたからいいよ。」


「今度からはみんなで気をつけて歩きなよ〜〜。」


泣いていたその子をなんとかなだめすかし、子どもたちと別れてから
この後どうするかをムサシに相談しようと合わせた視線の奥の彼は、めずらしく落ち込んでいた。


「・・・・すまん。」

「なんでムサシくんが謝るのさ?」

「なんでって・・・・一緒にいるのにに怪我させた。」

「私、鈍くさいし。ね?ムサシくんは謝らないで。子どもが元気なのは平和な証拠だよ。」


どうして


「っていうか、ムサシくんに謝られたらこの程度ですっころんだ私が恥ずかしいよ。」


あはは、となんでもないように軽く笑うを見て
ムサシはそこからわずかに後ろに下がって、少し距離をとった。



俺は、人間としてこの娘のそばに生まれてこなかったのだろう。




、そこにいろ。動くなよ。」

「え?あ、うん。」

なにするんだろう、とおもったけど
結局なにがきても驚くような気がしたのであえてそこはなにも聞かなかった。



「擬人忍法!」



すこしの煙が上がったかと思うと、その中から1人の男の人が現れた。




みんなと同じ忍服を見にまとい、
黒いすこし短めの髪に、適度に筋肉がついたすらりと長い手足。
カカシさんより背は低めで、よく見ると刻まれた皺にわりと歳が上の方のような気もする。

だけどまとう空気がぱりっとしていて、若々しくよけいに見た目の年齢をあやふやにした。



「・・・・どちら様ですか?」


なんとなくそれが誰だかわかっていたけれど、
すんなりそれを信じるには私はまだこの世界の人間になりきれていない。


「なに言ってんだ。俺だ。」

「・・・・オレオレ詐欺?」


「は?」


「あ、いや!じゃなくて本当にムサシくん?」

「そうだ。」

しゃべる犬というのにおどろいたのも、つい最近だったような気がするのに。
まさか犬が人間になるだなんて。

前になって欲しいとせがんだのが自分だというのをすっかり棚にあげているのはこの際よしとしよう。

そんなことはお構いなしに、今の
口をぽかんとあけたまま目の前の人間の姿になったムサシに釘付けになっていた。


「わー・・・・・・。」

「ん?どうした?」


「・・・かっこいー・・・・。」


「お前なぁ。」


怪我してるくせに、みとれてる場合か。


「っていうか、渋いよー。なんで?普段あんなにこわもてなのに?」

さりげなくひどい事を口にしているにもかかわらず、
それ以上には口を開けば「かっこいい。」だの「ばっちり。」だの
反応に困るようなことばかりを言っていた。


こういうのも、悪くないかもしれないな。


「ほら、早くしろ。」

「へ?」

見惚れていて気がつかなかったが、いつの間にかムサシは
背中を自分にむけて催促しているではないか。


それって、つまり


「む、むりむりむり!!!おんぶなんて恥ずかしくて無理だよー!!」

「無理とかそういう問題じゃない。というか、この状況じゃお前の意見はすべて却下だ。」

「え!!?そんなぁ〜。」

「しかたないだろう?」

「・・・・うぅ、どうして?」

「誰か呼んでくるって手もあるが、この方が諸々手っ取り早い。」

「諸々っていうと?」



「俺が離れてる間、お前を1人にしとくのが1番危険だろ。」



フフン、と腕を組んで見下ろされては返す言葉もない。

ムサシ相手には思い当たる節がありすぎる。


そもそも、先ほどムサシと一緒にいてもすっころんだのはどこのどいつだ。


これは素直におんぶされとくしかないよね。

「・・・・おっしゃるとおりで。」



こうしてはしぶしぶ俺の背中におぶさった。
よいしょ、という声とほぼ同時に感じた背中の重み。

思った以上に軽いの体に、思わず笑ってしまう。


「う・・・・お、重くない?」


ムサシが笑ったのを、勘違いしたは心配そうに小さく聞いた。


「平気だ。お前1人おぶるくらい、どうってことないぞ。」

「ならいいけど。・・・・・ごめんね。」

誰かにおんぶをして貰うのは記憶の中では初めてのことなので、照れくさいことこのうえない。
しかも忘れていればよかったのに、今さらになってすっころんだ自分の情けなさもよみがえる。


「たまにはいいだろ、こういうのも。だから謝るな。」



「ん。ありがと。」


そう言って、きゅっと首に回っていた腕の力が強くなりそこには顔をうずめた。



いつもなにげなく通る道を、
今日は背中にをかんじながら帰る。

こいつ、こんなに軽かったんだな。


お互いに顔が見えなくてよかったと、思う。


カカシほどとは言わないが、なんだか今自分がどんな顔をしているのか
はっきり言って自信がない。

だから俺は誤魔化すようにして話をした。


「それはそうと。俺への貸しは高いぞ?」

「ぅえええ?!高いって・・・たとえば?」

「そうだな。カムカムくん2こ分かな。」


安っ。


何を要求されるのかと思えば、そんなものでいいらしい。


「そんなんでいいの?」

「あぁ、ちょうど2個さっき買ってただろう?」


今日はめずらくムサシが普段の家事をほめてくれたのがうれしくて
だからムサシが好きなおやつのカムカムくんを、あとで帰り際にこっそり渡そうと思っていたのに

買った時点でバレていたとは。


「知ってたの。」

「引退したとはいえ、元忍犬だぞ?」

「えーそれってただムサシくんが目ざといだけなんじゃなくて?」

、お前言うようになったな。」

「ふふふ、ムサシくん優しいから。」


私が感じる照れくささも、申し訳なさも全部知ってて
こういう軽口を言ってくれているのは確認しなくてもわかる。

だからそのムサシくんの優しさに、私は気づかないフリをして全身でかみしめるのだ。


記憶はないけれど
遠い昔、父親におぶわれていた時もこんな気持ちになったのだろうか。


「なんていうか・・・」

「んー?」


が初めてなんだ。カカシ以外にこんなに大切に思う存在が出来るなんてな。」


今日のムサシくんはなんかちょっと変だ。

優しくて、
心がぽかぽかするような言葉をたくさんくれる。



「俺は、俺の全てでお前を護りたい。」



それは本人も感じていたようで。


「あー・・・なんか今日、俺おかしいな。というか、怪我させといてなんだな。」

「たしかに、ちょっと。でも、おかしいっていうより・・・・甘い?」


あぁ、そうか。

いつも一生懸命でぬけてるくせに、キレイに笑うをそばで見ていて。


「たまには俺もうんとお前を甘やかしてみたくなったんだ。」


カカシがいないうちに。


つぶやくように、わずかに届く声でそう言ったムサシに
はどう返事をしようか迷っている間に、2人は家に到着していた。



「着いたぞ。靴、脱がしてやるからそこに座れ。」

「はーい。」

甘やかしてみたくなった、と言ったからなのか
足を気遣いながら玄関に下ろすとは驚くほど素直になっていた。

「・・・・・なによー。」

「くくくっ、イヤ。なんでもない。」

「じゃあなんでムサシくん笑うのこらえてるのさー!」

「あはははは、すまん。いや素直なお前も可愛らしいなと思ってな。」

「またそういうこと言うー。」

ニヤニヤしながらのカカシさんとは違って、
ムサシくんのは妙に渋くて困るんだってばー////


「人の姿じゃなきゃこんなことも出来んしな。」


カカシに感じるドキドキとは違ったものをは感じていた。


赤くなって下をむいているに、
ムサシはふわりとやわらかな笑みを浮かべていた。


今、鏡をみたら自分でも驚きそうだな。


そう思っていると、下を向いていたはずのと突然目があった。


「なんだ?」


だんだん近づいてきたかと思うとそれは、すぐにくっついた。



―ちゅっ



頬になにやら柔らかい感触を感じたのは随分と遅れてだったかもしれない。




「はい、カムカムくん2個分v」


「なっ///?!!ちょ、お前!!!!」


「えへへv」

「えへへvじゃないだろうが!!!」

「ダメ?今日はなんかいいかなって思ったんだもーん。」


もーんって、お前・・・・///


「お前な、・・・・・!!!??!」


真っ赤になって照れていたムサシの顔が
なぜだかさーっと血の気が引くように、目の前でみるみる青ざめていった。


やばい。
どう考えたって、これはマズイぞ。



後から聞いた話だけど、この時のムサシくんは久々に死を身近に感じたとか。



「どしたの、ムサシくん?」

「ぁ、あー・・・・すまんな、。後は頼んだ。」


「え?あ、ちょちょっとムサシくん!」


呼び止める暇もなく、ムサシはその場から消えていった。

そしてが首をかしげたのとその声が頭上から聞こえたのもほぼ同時だった。










あれーおかしいな、新年早々カカシ先生がいってきますしか言ってないw
っていうか、オリキャラとヒロインとかどんだけ!すみません。

久しぶりに少々長いので、2つに分けます。