困らせてしまうことも。
それでも、笑ってバカだねって言ってくれることも。

わかっては、いる。



どうしようもないけど、それだけアナタの全てが欲しいの。





背中合わせのオレたちは





あーあ、ってば。
拗ねちゃってかーわいいんだから。


任務終わりに帰路につく、上忍3人からなる1つの小隊。


隊長であるカカシは、少し先のほうにいるを視界にいれてその様子がいつもとわずかに違うことに思わず口元をゆるめていた。
視線を感じて唯一隠れていない右目を横に向けると、そこにはもう1人の仲間であるアスマがあきれたような面倒くさそうな表情をしている。


「なーに、アスマ。」


アスマは一呼吸おき、少し先の枝にいるに聞こえないようにカカシの問いに答えた。


「女ってなんでこーなのかと思ってよ。」

「あ、ってことは紅も?」

「まーな。アイツは直接俺に言ってくる分、まだマシだ。」


カカシは普段淡白で、お互いを尊重し合う同僚たちの痴話喧嘩の様子を思い浮かべてみたが結局はあんまり想像出来なかった。


「・・・紅もホント物好きだよね。」


「オイ、聞こえてんぞ。」

何度言われたかわからない、自分と恋人である紅の関係をさす言葉。
アスマと紅ができていると聞いた人物は、決まってそう言う。

陰で美女と野獣だと言われているのも、知っている。


まぁ、だからどうした。とアスマは気にもしていないのだが。


「んなこと言ったらお前んとこもだろ。」

「なにが。」



のヤツもなんでお前みたいなヤツに惚れたんだか。」


「んーとねぇ、かっこよくて背が高くて優しくて思いやりがあって〜・・・」

「・・・んなこと聞いてねェよ。」



先ほどの仕返しに、と同じ言葉をそっくりそのまま述べてやったがカカシのほうが一枚上手だったらしい。
アスマはうんざりとした表情をカカシに向けて、次々と新しい木に飛び移りながらもタバコをふかした。


「なんだ、てっきりがオレのどこにホレてんのか知りたいんだと思ったのに。」

分かってわざわざ言うぶん、この男は本当にタチが悪い。


「嫌味に決まってんだろーが。」

アスマのその言葉に、カカシは同じく木から木へと移動しながらもクスクスと笑う。


「うん、知ってる。」


ホラな、タチが悪いだろ?


「まぁ、でもちゃんとフォローしてやれよ。」

「あぁ、わかってるさ。」

カカシがそう言い終えると、2人は同時にやはり少し前にいるを見た。
それから、再びカカシとアスマが互いに目線を合わせ苦笑したのも前にいるからは当然見えなかった。



があからさまではないにしろ、普段から気にしてしまっているのは恋人であるカカシと自分にとっても同僚であるアスマの仲である。
なにかにつけて、ふとしたことが息ぴったりで。

今日もそんな2人の仲を任務中にまざまざと、見せつけられたのだ。



アスマに妬いたってしかたないことくらい、・・・ちゃんとわかってる。


人間3人集まると、どうしてもどちらかに偏りが生じてしまう。
それがたとえどんなに訓練された忍であっても。

だから今回は、その溝が少しでも埋まるように昔から知っているアスマと自分の恋人であるカカシでチームが組まれた訳で。



「はぁ・・・。」

は、誰もなにも悪くない状況に1人こっそりとため息をついた。





以前、はアスマと付き合っている紅はどう思っているのだろう・・・と、待機中の彼女を捕まえて聞いてみた事がある。


「ねぇ、紅。」

「なに?」

相変わらずスレンダーで、綺麗な紅を見ていると自分を鏡に映したくなくなってしまう。

いや、それもそうだけど。
今はそんなことじゃなくて。


「変なこと聞いていい?」

「変なこと?なんでアスマと付き合ってるのか、とかそういうのはお断りよ。」

「な、アタシがそんな事言うわけないじゃん!・・・・2人のこと応援してるんだから。」


あまり自分と歳がさほどかわらないはずの
上忍に似合わず必死なかわいらしいその姿に、自然と紅の口元はゆるくなるというものだ。


「冗談よ。」

「もー・・・。」


からかわれたことに、は拗ねてはいないが今にも頬を膨らませそうだと紅は思った。

「で?聞きたいことって?」

「うん、あのさ・・・」

はキョロキョロと、しばし辺りを窺った後声をひそめて言った。



「紅ってさ、カカシに妬いたこと・・・ある?」



思いがけないその発言に、紅はクスクスと笑った。
でも別に、その笑いはバカにしてるとか全然そんなんじゃなくて。


むしろ、・・・。


「やっぱ、あんたもそうだったの。」

「え?あ、ってことは紅も?」

「そりゃあね。だってあの2人とは何回も組まされてるのよ?普段は特に気にならないけど・・・任務中はどうしても、ね。」


その言葉には少し諦めがまざっていて。


「でも、まぁ仕方がないんじゃないかしら。やっぱり男と女じゃ感じ方が違うもの。」

「そう、なのかなぁ〜。」

「女の私たちにはわからない所で繋がってるって、気はするわね。」

「うん、そうなんだよねー。」


いくらカカシが自分を愛してくれていても。
アスマが紅を愛していることなど、わかりきっていることなのに。

2人の心が、どこか別のところで繋がっているのを感じる度にはどうしようもない想いを抱えてしまう。


「ちゃんと言ったの?それ。」

紅の問いかけに、はゆっくり首を横に振った。
「紅は?アスマにちゃんと言ったんだ?」

「もちろん。まぁー・・・すんなりとはいかなかったけど。上忍同士の付き合いで何が大変って、お互いに何度も死線越えてる分相手の気持ちに敏感になりすぎることよね。」




「でも、だからって最初からわかってくれるだろうって甘えるのも。言ってもしょうがないって諦めるのもダメよ。」




あの時の紅の言葉一つひとつが、今の自分の心に浮かんでは消える。


「言いたいことは、きちんと言葉にしなくちゃ・・・か。わかってんだけど、それが中々ね〜・・・。」
は後ろの2人に聞こえないように、ポツリと呟いた。


そうこうしているうちに、3人は里の入り口へとたどり着きその足で火影のもとへと今回の任務の報告へと向かった。


「任務、ご苦労じゃった。本当は休暇をやりたいところだが、明日は3人とも待機していてくれんか。」

「「「はい。」」」


部屋からさがり、アスマは「じゃあな」と言い残しその場から瞬身の術で消えていった。



。」


自分の名を呼ぶ声は、数時間前までの隊長として仲間を呼ぶものではなく今は恋人としての甘さを響かせていた。

「無事、帰ってこれてよかったね。」

カカシは当たり前でしょ、と言いながらの身体に腕をまわす。

「疲れた?」
そこまでの任務に体力的には余裕があるのがわかっていても、カカシは気づかうように聞いてくれる。

「んーまぁ、少しは。」



「じゃあ、明日にしようか?ちょうどアスマもいるしね〜。」



・・・バレてる。


アタシが思ってることも。
言えずにいることも。


やっぱ、カカシにはなんでもお見通しなんだな・・・。



『でも、だからって最初からわかってくれるだろうって甘えるのも。言ってもしょうがないって諦めるのもダメよ。』


うん、わかってるよ紅。

カカシならアタシのこんな気持ちごと、きっと愛してくれる。





「おはよーっす。」

気だるげに、お決まりのタバコをふかせながらアスマは上忍の待機所へと入ってきた。


「あ、アスマおはよー。」

「おぉ、。昨日はお疲れさん。」

そう言って、アスマはすこし間をあけての隣へと腰をおろした。
昨日の今日で、はなんだかアスマの顔が見れない。


・・・紅はきちんと割りきってるみたいだったけど。
やっぱりアタシはアスマがうらやましい。


女としてカカシに愛されるだけじゃ足りない、全然たりてない。


・・・って、こんなの間違ってるよ。
アスマのことはちゃんと尊敬してるんだし。


だから、キライになれなくてなおさらツライんですけどね。


が隣で悶々と考えていることなど。
アスマには全てお見通しで。


だからちゃんとフォローしとけって言っただろーが、あのバカ。


「アイツは報告書だしてからか?」


「わかんないけど、・・・アスマがそう思うならそうじゃない?」


そんなつもりなどちっともなかった筈なのに。
どうしてだか、口をついた言葉は


思った以上に冷たさを響かせた。


「あ、アスマ・・・ごめ、そんなつもりじゃ・・・」
は身体ごとアスマの方を向き、直前に口から出ていった言葉を必死に否定した。


今にも泣きそうなの頭に、アスマは大きな手を乗せそのままくしゃくしゃ、となでた。



「バーカ。まぁ、コイツはもっとバカだけどな。」


「え??」

がアスマの言葉の意味を必死に考えていると、ふいに背中に温かみとすこしばかりの重さを感じた。

「あーアスマってばオレの大事なを泣かしたな。」

「え?あ、カカシ!」

はその人物の顔を見ようにも首筋にからまっている二本の腕と、頭に乗せられた顎によって身動きがとれない。


「アホか、泣かしてねぇし。」

「当たり前でしょ。が泣くのはオレの為だけだもんねー?」

馬鹿馬鹿しい、と最早アスマはそっぽを向いてしまった。


「あ、や。あのカカシ、これは違くて・・・。」


慌てて言い訳を探すに、カカシは柔らかな笑みを浮かべてその顔をのぞきこんだ。



「ねぇ、。昨日・・・だけじゃないね、ずーっとが何を思ってるのか言ってごらん?」



あ、・・・言うの?今、ここで?

は今は目の前でそっぽを向きながらタバコをふかすアスマと、自分を後ろからのぞきこんでいるカカシとを交互に見た。


「・・・アタシ。」

「うん。」

カカシは相づちをうちながら、アスマは黙って横顔で、アタシがきちんと先を言えるように待ってくれていた。



「アスマに、・・・アスマとカカシがあまりにも息ぴったりだから・・・嫉妬した、の。」



言えた。

ようやく、言えました。



カカシなら笑って受け入れてくれるとわかっていても、ずっと浅ましい自分からどうしても目をそらさずにはいられなかった。


恐る恐る顔を上げてみると、カカシの顔はもうこれ以上ないってくらいに嬉しそうにしていた。

アスマはどうしてだか、ちょっと機嫌が悪い・・・?


「あの、」
何か言わなくちゃと、が言葉を口にしようとするとカカシは今まで抱きしめていた腕をとき、


ストン、と。

と背中を合わせて座った。


「ま、確かにさアスマには命預けちゃってる部分は多少あるんだけど。」





「でも、オレが1人の男として全面的に背中任せられんのってオマエだけよ?」




言い終わるとコツン、とカカシの後頭部がアタシの頭に乗っかった。


え、・・・・あ。


ふと、顔をあげて正面にいるアスマを見ると「そーいうことだ。」と声に出さずに言っていた。



どうしよう。忍はいついかなる時でも、涙を見せるべからず、・・・なのに。

アスマの優しさが。
背中から伝わるカカシの愛が、


幸せで


こんなにも嬉しくて。



「・・・ごめん、バカでごめん。」

「なーに言ってんの、そこがまたのかわいーとこでしょ。」



「う、うるさい///」

ぷにぷに、とカカシは再びこちらを向いてアタシの頬っぺたを引っ張るから。
もう、アスマにまで迷惑かけて情けないやら恥ずかしいやらで涙もどこかに消えてなくなってしまった。


しかも、カカシはいつも以上にくっついてくるし。


「オイオイ、場所考えてイチャつけ。」

「なーに、アスマもイチャつきたいなら紅呼べば〜?」

「アホか・・・んなこと出来るかよ。」

ったく、しょーがねぇヤツら。とアスマはもうどうでもいい、と2人の状態には無視を決め込んだらしい。


「だいたいよォ、お前といい紅といい。なんでこんなやつとの仲を嫉妬されなきゃなんねーんだ。」

「ホントだよ。」



「いーい?、アスマは髭でクマで肺真っ黒の野蛮人なんだからね。」


「う、うん・・・?」



あの、カカシ・・・?

アスマのこめかみピクピクしてますけど(汗



「・・・そこはわざわざ言わなくてイィんじゃねーか?」

ポツリとぼやいたアスマを、カカシは完全に無視。


「ま、ようはオレもによっかかるから。ももっと、どどーんとオレに背中任せちゃってってこと。わかった?」


今までだっていっぱいカカシによっかかってきたのに。

「これ以上体重かけたらカカシ潰れちゃうよ。」そう言ったらカカシは、笑いながら「だからぜーんぜんだいじょーぶ。」と頭をなでてくれた。



その隣で、アスマがタバコをくわえながらその口元がわずかにあがってるのがの視界に入って。

紅がアスマにベタ惚れなのわかるなぁ〜、と思った。







「ね、さっきうんって言ったよね?」

「え?」

「さっきって、・・・お互いに背中を任せるってやつ?」

「そ。」

「確かにうん、って言ったけど・・・・なに?」




「あれ、これから先もずーっとって意味だからね。」



・・・・は?

「え?ちょ、それどーいう意味、」

意味を確かめようと。


少し前を歩くカカシの腕をつかもうと左手を伸ばすと、

そのまま腕をとらえられの言葉はカカシの唇に奪われてしまった。



ちゅv



「こーいう意味。」

そう言って、カカシはつかんだままの左手を持ち上げて。



反対の手で、の薬指に指輪をはめるマネをした。




「・・・ぇええぇ??!!!」


「現物はまた今度ねv」

意地悪そうに口元を歪めながら、カカシはくるりと前を向き再び歩き出した。








<おまけ>


「私は、髭で・クマで・肺真っ黒の・野蛮人なアスマが、いいのよ。」


1人イチャパラを読みながら、待機所にいると目の前に仁王立ちをした紅がわざわざ言葉を区切りながらそう言った。


「あ、・・・紅聞いてたの(汗)?」

カカシのその問いには答えず、冷たい視線を送って紅は隣に座った。



「別にいいわよ、アスマの魅力は私だけが知ってればいいことだから。」

「アツイねぇー。」

「アンタだっていっつもボーッとして、エロ本ばっか読んでる猫背なヘタレじゃない。」



「別に〜オレの魅力はだけがわかってればいーの。」


そう言って、目が合うと2人はクスクスと笑った。



「アッスマ〜!!そんなところでなにやってんの??」

「ちょ!!バカ、お前///」


カカシと紅の会話が聞こえ出るに出れなくなり、入り口で1人隠れていたアスマに
たまたま通りかかったが背中を叩いて大声でその名を呼んだため、それに気づいた紅は思わずその場に立ち上がった。



「・・・・・///」

「あ〜・・・その///」



「え?ね、カカシ。なんで2人して顔真っ赤になってんの?」

こりゃーめずらしいモン見たな。

「いーから、邪魔しちゃ悪いからいくよ。」


やーっぱり、アスマの背中は紅じゃないとね。


オレたちみたいにねvv








これは流れ星の栞の葵 比奈さんにリンクの記念として捧げたものなんですが・・・。

えーっと。
・・・・こんなかんじで(汗


うわーん!!!なんかすみません。ホンットすみません〜〜〜
リクから大分逸れてしまったような気が・・・(ぐはぁ

ちなみにいただいたリクは
『上忍ヒロインで、カカシからアスマの話が出て嫉妬するヒロインにカカシがオレの背中はオマエに任せるよ的な発言があると萌えv』みたいなかんじでした。

アスマに嫉妬するヒロインときたら、カカシに嫉妬する紅ねーさん。と勝手に設定つけくわえちゃいました(エ、エヘヘ・・・汗
いやーアスマ先生と紅ねーさんカップル好きなんですよv
しかも台詞とか、場面も・・・微妙に戴いたリクと違うことに後から気づく始末。

ししし、しかもカカシせんせーったら最後にやらかしちゃって・・・アハ、アハハ・・・。
あの人様から戴いたリクエストで好き勝手に妄想するの、悪い癖なんですけれども。
でも、楽しかったですvv

あの、・・・・・こんなもんですいません。未熟さ故と、比奈さんの広い心で許してやってください(涙
これからもこんなワタクシですが、仲よくしてやってくださいねvvv