【シカマルの場合】


「シーカーマール。」

なにが楽しいのかスキップしそうな勢いでやってきて、にこにこと俺を見つめてくるのは
最近なにかと一緒の任務に組まされる先輩くの一。

つーか、忍が飛び跳ねながら歩くなよ。

でもそんな年上に見えないをかわいいと思ってしまっているのも事実。
なにかと任務以外のところでも構ってくれるのが嬉しいと思ってしまっているのも、めんどくさいけどまた事実。


「・・・・さん、それ俺知ってます。」


ゲームのルールを知っていながらも、その視線は外さずにしゃべる俺。
「最近くの一の間で流行ってるっつーアレでしょ?先に目ぇそらした方が負けっていう。」

そういうと、さんは年上のくせに口を子どもみたいに尖らせてあからさまにがっかりした。
その姿にようやく俺はずっと見つめ合っていた視線をはずす。

「別に俺の負けでいいっス。」

「ちぇーつまんない!シカマル、あんたつまんないよ。」

「人格否定っスか。ひでー先輩。」

口ではそういいながら、さんはころころと笑った。忍にしてはよく笑う人だ。
それにつられたのか、俺も少しだけ楽しくなって一緒に笑う。


「ふふふ、かわいい後輩だからついからかいたくなるのー。」

「どっちかっつーと任務以外はさんのほうが年下っぽいですけどね。」


かわいらしい見た目としぐさに、ふとした時に年下扱いしてしまいそうになる。
それでも任務の時は恐ろしく切れ者な目の前の女性。どこをどう切りかえたらこうなるのか。

・・・詐欺だろ。

そんな彼女のギャップにひそかにやられる男は多いんだとか。つーか、どっかにスイッチでもついてんじゃねぇの?
なんて考えながら任務の時のさんの姿も尊敬できてそれはそれ。
一方で普段のこういう何気ないかんじも、別に悪くないと思い始めていた。

仕事以外でこうして話をしたりする関係に少し勘違いしそうになる自分。
それでも勘違いじゃないのかもしれない、と思い上がり始めている自分。あぁ、なんてめんどくせーんだ。



「あーそういえばさぁ。」

なんて他愛のない話が始まる。
つーか・・・ゲームでもこの人と無言で見つめあうなんて勘弁だっつーの。


惚れないわけねぇだろ、そんなん。