|
あったかいごはんがあって。 帰りを待っててくれる人がいて。 それってすっごく幸せ。 しあわせ・・・・なんだけど。 その隣のヤツはいらなくない? それでも愛して 「ー。」 奥の部屋でカカシさんが私を呼ぶ声がする。 タイミング的にあれだろう、と洗濯物を干していた手をとめてそちらへ向かった。 「はーい。」 案の定、カカシさんはドライヤーを手に床にちょこんと座ってスタンバっていた。 もちろん、猫背まるだしで。 「髪、かわかしてー。」 「はいはい。」 慣れたように、は後ろに膝をつき 濡れていつもの流れるようなクセがないぺたんこの髪を指ですきながら、乾かした。 初めて会った時からいくらか時がたったが、 そう、この名前が里の外にまでしれわたるはたけカカシは自分で髪の毛も満足に乾かせない。 へんなの。 内面を知れば知るほど、は噂があくまで噂である事を知った。 本当は甘えたがりで、寂しがりで、結構融通が利かなくて。 かっこいいというよりは、こんなことを言うのは失礼だと思うけど はカカシをかわいくて案外普通なんだと思っていた。 普段の任務姿は見たことないけど、 鮮やかにクナイを使いこなすだろうカカシさんが、まさかドライヤーを使えないとは。 本人曰く、使えないんじゃなくてあくまで苦手なんだそうだが。 世間が聞いたらびっくりするだろう事を、自分だけが知っているというのが 愛しいけど少しおかしくって思わず小さく笑ってしまった。 「なーにオレの見えないトコで笑ってんの。」 「え?いやーだって、ドライヤーが苦手ってやっぱりおもしろいなって思ったんです。」 言いながらクスクスと笑うのをやめない私に、カカシさんは口を尖らせていた。 「・・・いーじゃないの、別に。」 その言い種に、思わず声を出して笑ってしまった。 だってなんか・・・子どもみたい。 「いいんですけどね。」 「だぁーって、に髪さわられるのってキモチイんだもーん。」 拗ねながらも、その口調がどんどん甘さをましていく。 「んー・・・なんか、眠くなるんだよねぇ。」 「さ、催眠効果はないハズ・・・ですけど?」 「んーんん・・・・ん?」 後ろから顔を覗きこむと、すでに船をこぎ初めているカカシさんと目があった。 そしてとろんとしながらも、不思議そうに私の目を見る。 「終わりましたよー。」 ほかほかのくせが戻った髪を、ぽんぽんと撫でながら言うと 急に振り向いたかと思ったら腰の当たりに抱きつかれた。 「んじゃあねよー?」 「もうちょっとだけ、洗濯物干すの途中なんですよ。」 腰の位置から見上げながら、「なら待ってる。」とだけ言って カカシさんは私から離れてお決まりのイチャパラを読み始めた。 が洗濯物の続きをしに部屋を出てから少したった後、一度だけ視線を上げたカカシの先にはヤツが。 「オマエも洗濯されてれば?」 呟いてみるが、当然返事はかえってこない。 まぁ、別にいーけどさ。 こんな感じの毎日。 だけど小さな当たり前が幸せな、毎日。 2人は木の葉の里の隅っこで静かに暮らしていた。 そんな日々の暮らしの中で起きた、ちょっとした出来事。 今回はそんな2人のそんなお話。 「なぁ、今度のあの事、カカシさんにはもう言ったのかよ?」 仕事をしながら、向かいに座るコテツが私に話をふる。 それを聞いて私の隣に座るイズモがさらに話しをかぶせてきた。 「そーいう事は早く言っといた方がいいよ。後にすればするほど言いにくくなるんだから。」 わかってる。 わかってるけど、だからってすぐに出来るかどうかはまた話が別だ。 うまく言い返せなくて、黙ったままでいると イズモが持ち前のS心を引っ張り出してきた。 「ってさ、嫌いなものは後に回すタイプでしょ?」 「・・・・・黙れ。」 手元の仕事を睨みつけながら、精一杯抑えた声で私は呟いた。 自分の仕事が片付いたからって・・・くそう。 「お、オイ。ケンカはよくないぞー今は仕事中だぞー。」 焦ったコテツがこちらに身を乗り出しながら、仲裁に入る。 「そもそもこの話題ふったのコテツでしょ。」 「なッ?!イズモ!そこで俺にふるな!」 「イズモもコテツもうるさーい。イズモ、終わったんなら次これお願い。コテツはさっさと座んなさい。」 「「・・・・はーい。」」 普段、なにかと事務処理や雑務が多いこの部署にめずらしく実務が回ってきた。 期間は1週間。 何人かかりだされるらしく、私が組むのは 今、話しをしている同僚兼腐れ縁のイズモとコテツ。 先ほどから話題になっているのは、その任務の話をカカシにしたのかという事。 「俺、カカシさんに睨まれるのやだなぁ。」 「俺もヤダぞ!!・・・あの人ちょー怖ェんだかんな。」 2人が心配しているのは、 隊を組む以上、1週間四六時中一緒なことはしかたがないが 前もって予告がないのとあるのとじゃとばっちり具合が雲泥の差なのだ。 ・・・・前にちょっとだけと思ってカカシさんが任務で里外のときに 2人と飲みにいったら、店先で仁王立ちしてたのよね。 あの時の2人に対しての殺気は、中忍程度に堪えられるものではなかったという。 もちろん、カカシが任務に私情をはさまない事はわかっているが 多少の八つ当たり的な殺気は飛んでくるに違いない。 しかもその殺気は、上忍にとっての多少であって 中忍にしてみれば完全に死活問題。 イズモとコテツはあの時のことを思い出して 顔を真っ青にして、ガタガタと身体を震わせてあちらの世界を見つめていた。 「え、あの・・・2人ともいっちゃってるよ?」 「・・・・いくら任務とはいえ、それくらいお前を借り出すと恐ろしい目にあうってことだっつーの。」 「あれはもう2度と体験したくないね。っていうか、Sランク任務の方がまだ生存率高そうだし。」 まぁ、でもあの『はたけカカシ』が女1人の事でここまで嫉妬するというのも 考えればおかしな話だ。 それがこんなに身近にいる、幼馴染。 イズモもコテツも考えていることは一緒だったのか、 目が合うとぷっ、とふきだした。 「な、なんで今度は笑うのよー。」 1人置いてけぼりな状況に、 むくれだしたの頭をぽんぽんとコテツがたたく。 「今日こそは言えよー。」 「・・・うん。」 下を向いて返事をしたの肩に手を置き、イズモが隣に並んだ。 「あのさ、?」 「ん?」 「ちゃんと、言葉にしなよ?カカシさんとお前ってあやふやにしがちっていうか・・・ 空気感大事にしてるのはわかるけど。実際どう思ってるか、なんて口に出さなきゃ伝わらないんだよ。」 いつも余裕そうにからかってくるイズモの真剣な言葉に、 驚いて、それから嬉しくなった。 「うん。大丈夫・・・・カカシさんって1番大事なことはちゃんと言ってくれるから。」 笑って、じゃあねと2人に手を振っては帰って行った。 「かわいいって思ったでしょ、コテツ。」 「・・・思ってねぇ。」 横を向くと、顔にはおもいっきり思ってます、と書いてある。 そのコテツのわかりやすさに、イズモは笑わずにはいられなかった。 「っあははは、別にいいじゃない。」 「だ、ちげーって言ってんだろ!!誰がノロケてるヤツなんか!」 「ふーん。俺はかわいいって思ったけど?でもさ、カカシさんとの事があってから変わったよね。」 「ずりぃーぞ、お前。・・・・まぁな。なんか、やっぱアイツも女なんだなー。綺麗になったというか。」 「なんにせよ、」 「「・・・・彼女つくろう。」」 お互いの肩を叩きながら、声を重ねる2人だった。 「ただいまー」 「おかーえりv」 家に帰ると、くつろいだカカシさんが出迎えてくれた。 部屋に入るとご丁寧に、読んでいたイチャパラを脇にどけて 私をおもいっきり抱きしめてくれた。 「やぁーっと帰ってきた。」 今朝行ってきますって別れたばかりなのに、 愛おしそうにカカシさんはそう言う。 ヒモ男みたいに見えますけど、この人実は私の倍以上稼いでるんですよー・・・なんてね。 タイミングを見計らった結果、 今度の任務のことは寝る前のベッドの中で言うことにした。 「あのー・・・カカシさん?」 「んー?」 「えっと、」 口ごもって肝心のその先が中々出でてこない。 そんな私を見て、カカシさんは肘をついて 上から見下ろすと 「なぁに?ってばオレに言えないような悪いコトでもしたの?」 普段のカカシさんからは想像もつかないような、 意地の悪い笑みを浮かべて楽しそうに言った。 ・・・・・猫かぶりだ。 初めて出逢ってから、しばらくたつが たまーに、ごく稀に見せるこのカカシさんを見ると本当のカカシさんはこっちなんじゃないかと 思ってしまうときもあったけど、多分違う。 こういうカカシさんは、ふらふらと色んな女の人のところに出入りしてたときに 身についたワザみたいなものだと思う。 別にこういう心臓ごとつかまれるような、 自分の女の部分を無理矢理引き出されるような、そんなカカシさんも好きだけど。 「カカシさんの言う悪いコトってなんです?」 まっすぐに目を見て言い返すと、 カカシさんから、途端に作った顔が消えて今度はちょっと困ったようになる。 あー・・・・この顔好きかも。 無理矢理整えようとした言葉や表情じゃなくって、 その時に思ったことをそのまま、のんびりと向けてくれるカカシさんの方が私は、好き。 多分、今のカカシさんは私に言えそうなことから、言えないようなダークなことまで考えて たどりついた先が、ありがちな浮気とかそういうのを言いたいんだろうけど、ってことは自分は私の彼氏であって 本気だけどはっきりそう言っていいものなのか迷っているあたりだと思う。 変なの。 私の彼氏でーす。って、みんなの前で堂々と宣言しちゃってくれちゃったのはカカシさんなのに。 こういう所は自信ないんだから。 普段も自分が気づいてない所で独占欲丸出しなくせに。 うんうん、うなり始めているカカシさんもかわいいけどそろそろ止めてあげないと 頭から湯気が出てきそうだ。 「カカシさーん。そろそろ戻ってきてください?」 「え?・・・あ、」 「カカシさんが心配するようなことはしておりませんので、その点については安心してください。」 私がそう言うと、あからさまにホッとするカカシさん。 「えっと、実は任務がはいりまして。」 忍には守秘義務が存在するので、少しかいつまんだ説明となったが 一番大切であろうチームがあの2人とだ、ということはきちんと告げた。 「ふーん。」 ・・・・あれ?思ったより反応が普通だ。 なに言われるかと思って構えてたのに、返事は案外そっけない。 「あの2人と組むのは・・・反対しないんですか?」 「えーしないよ。むしろそっちのほーがイイ。」 ??? じゃあ、どうしてあの2人はあんなに怯えていたのか。 「だって、あの2人ならなにがなんでものこと守りそうでしょ?」 ま、多少役不足だと思うけど。 と、ふんわりと笑って言うカカシさん。 心配していたこともなく、このままあっさりと眠りにつけると思った矢先。 「やっぱり1週間もと一緒だなんてちょっとムカツクけどね。」 「え」 「そっか・・・・1週間もいないんだー。」 悲しそうに、つぶやくようにして言うカカシさんに 心の奥の方が、きゅうっとなった気がした。 今日は私の心も中々に忙しい。 というか、私はこのパターンのカカシさんに一番弱いんだ。 頭は誰が乾かしてくれるのよ、とか。 ごはんは?とかじゃなくって、 静かになった部屋で、同じくらい静かにカカシさんが言う。 「オレ、もう1人じゃ寝れないよ。」 さっきの猫かぶりはどうした、と心で突っ込むのも忘れて 私は、私が1週間もいないというだけで、ここまでしょげる目の前の人を心に焼き付けるのに精一杯だった。 でも、じゃあ行かないって言うのは無理だしなぁ。 色々迷ったあげく、はその腕にあったものをカカシに差し出した。 「じゃあこれ貸してあげます。」 その正体は、いっつもが抱きしめて寝るくまの抱き枕。 カカシが寝てる間にいくら引きはなそうとしても、 失敗して結局諦めてそいつごとを抱きしめて寝る はっきり言って、天敵っぽい邪魔なヤツ。 「えーヤダ。ホンモノがいい。」 チラッと見ただけで、カカシは目線をすぐにへと戻した。 案外納得しなかったカカシに、はやっぱりかと思いながらも 別の方法を考える。 「無茶言わないでください、1週間したらちゃんと帰ってきますから。ね?」 結局なにも思いつかなくて、 そんなありきたりの言葉しか言えない自分。 困ったように笑うに カカシはいつも自分が任務に行くときは、一度も引き留められたことがないということにふと気がついた。 はいつもこんな気持ちになるのかなぁ? 「・・・・ん。わかった。じゃあ約束して?」 急に素直になったカカシに、 は少し疑問に思いながらも。 「はい、1週間したらちゃんと」 「じゃなくって。」 「次、オレが任務に行くときはもちゃんと駄々こねるって。約束して?」 「はい?」 「行かないでって今のオレみたいにだだっ子になって?」 「でも・・・・そしたらカカシさん任務行きにくいでしょう。」 「ダーイジョーブ、そしたらちゅーしてイイ子にして待っててね。って言ってあげるから。」 「あの・・・」 「ん?」 「それって・・・」 「そ、今やってってこーとv」 やっぱりそれが狙いかぁ!!!! さっきまでしおらしかったのに、いつの間にか方向転換し始めたカカシさんに びっくりといえばそうだがやっぱりいつまでたってもつかめないなぁ、と少し笑ってしまう。 「むぅー・・・・」 「ダメ? 」 「・・・・・イイ子にしててくださいよ。」 「はーいv」 しどろもどろになりながら、ようやく言えたのだから このくらいで許して欲しい。 しかも、上忍でエリートとまで言われている目の前の忍に イイ子にして待っていろとは、職場の人間が聞いたら白目をむいて どの口が言っているんだと確実に言われそうだ。 「ねーねー、。ちゅーは?」 いつの間にか、下から見上げられている状況に 根負けして私は触れる程度のキスをした。 その姿が、おあずけされてる犬みたいだ。なんて言ったって カカシさんが怒らないのを知っているのは 多分、里内でも私だけ。 「はぁー・・・・やっぱ1人ってヤダなぁ。」 今日で最後になる夜。 明日にはは帰ってくるハズなんだけど、そう思うと今夜がよけい寂しくなる。 ため息をいくらついてもは明日にならないと帰ってこない。 ふと、目に入ったのは 天敵だとカカシは思っているくまの抱き枕。 「アイツにたよるくらいなら、1人の寂しさをうんと味わったほうがマシでしょ。」 憎い。 でも、寂しい。 、。 ダメだ・・・・・もうオレの負けでイイ。 カカシは、くまの抱き枕に手をのばし 膝の上にのせて思いっきり抱きしめた。 ・・・・のニオイがする。 久々に感じたの存在に、 束の間、ホッと安心して でもすぐに、その気持ちは前より大きくなっていた。 「やっぱオマエなんてキライ。」 だって、なおさらに逢いたくなっちゃったじゃないの。 ぜーんぶ、オマエのせいなんだからね。 「もう1日だって待てないよ、。」 深夜、予定よりも少しだけ早くたちの隊は里に戻ってこれた。 慣れない実務に配慮してなのか、報告書は1日の休暇ののちということになった。 「カカシさん、大丈夫かな。」 いい大人なんだから、留守番くらいできるとは思ったが なんせあのカカシさんなのだ。 まさか深夜徘徊のクセが復活してないでしょうね。 イヤイヤ、そんな訳ないわよね。 ・・・・にしても、ご飯はちゃんと食べたかなぁ。 イズモとコテツへの挨拶もそこそこに、は家路を急いだ。 少しずつ冬の装いを始めた木々たちを通りすぎながら、 カカシと初めて出逢った場所に出た。 「なつかしい。」 あの時は、まさかが一杯だったっけね。 ふらふらとしていた、野良なカカシさんを 今よりうんと寒い仕事帰りに、家に来るよう誘ったんだ。 「拾った、でもいいかもね。」 1人、その場で笑って。 そのカカシさんが家で待っているんだと、思い出しては再び足を動かした。 「・・・ただい、ま」 あ。 起きているとは思わなかったけど、 まさか気配で目が覚めないとは。 しかも、あれだけ目の敵にしていた 私のお気に入りの抱き枕を、だきしめてうずくまるようにして眠っている。 よっぽど1人で眠るのがツラかったんですね。 愛おしくなって、その場にひざをついてカカシの髪に触れた。 どんな夢を見ているんだか。 目尻にはうっすらと涙がにじんでいるような。 「・・・かわいいなぁ、ほんと。」 思わず呟くと、さすがに目が覚めたみたい。 「あれ、・・・?」 「ただいまです、カカシさん。」 「ん、おかーえり。」 目をこすりながら、片手には抱き枕をもったまま ベッドの上に座っている。 さすがは寝ぼけても上忍。 任務がどうだったか、などとは聞いてこない。 にしても。 ・・・あれ、抱きしめてこない。 カカシさんのことだから、飛びついてくるくらいのことはすると思ったのに。 「あの、・・・カカシさん?」 「ん、なーに?」 「どうかしたんですか?なんていうか・・・元気ない?」 少し悩むようにして、 それからようやく腕にかかえていた抱き枕を、ベッドの脇に投げ捨てて私を抱きしめた。 首元に埋もれるカカシさんの顔が今、どうなっているかはわからない。 確認するように、ニオイをかいで。 「ごめん、ごめんね。。」 呟いたのは、思いもよらない謝罪の言葉だった。 え、なに・・・ まさか浮気とか? 急に私の心臓がはやくなる。息が苦しい。 先が聞きたいような、耳をふさいでしまいたいような。 なに、カカシさん。 なにを言うの? 「オレ待ってる間すっごいヤなヤツだった。」 「・・・・え?」 「最初はがはやく帰ってこないかなって思って。 寂しくて。 元々気に入らなかったけど、のニオイがする抱き枕がもっと憎くなって。 でもやっぱりこれないと寝れないし。」 やっぱり、それでさっき帰ってきたのにも気づかずに眠ってたんですね。 「そのうち忍・・・・辞めてくれないかなぁ、とか。閉じ込めて家からださないようにしようかなぁ、とか。 オレの事考えてたハズなのに、がいないってだけで自分のコトしか考えらんなくなってたんだよ。」 「それってすっごく、ヤなヤツでしょ。 オレ、ヤなヤツだけど・・・キレイじゃないけど、には嫌われたくない。」 搾り出されたたくさんの言葉たちに、は心の底から安心した。 「なーんだ、そんなことですか。」 「なっ、なんだーって・・・・そんなこと・・・なの?」 びっくりして顔をあげたカカシさんの表情はなんともなさけない事になっている。 「いーんですよ、それで。だってそれが普通でしょう?」 「そーなの?」 あんまり普通ではないのかもしれないけれど、 少なくとも私たちの間では、それは特別なことではないような気がした。 「はい。だって私だって思いますよ。カカシさんが危ない目に遇うのやだなーって。 忍やっててこんなこと思うのって、ずれてるっていうか・・・不謹慎でしょうけどね。」 里の為に命かけるのなんてやめて欲しい。 自分の為だけに生きて欲しい。 木の葉の里の忍にとって重要な位置にいるカカシさんに、 そんなことは口がさけても言えないけれど。 カカシさんがそう思ってくれているんなら、安心です。 お互いそんなことは出来ないと知っていながら、 そう思ってしまうのはエゴではないと思いたい。 「カカシさんもそういう事思うんですねー」 がイタズラっぽくカカシを見上げた。 それから重くなった雰囲気を誤魔化すように、少し笑った。 「あはは、カカシさんちゃんと人を好きになったことないから。」 カカシさんが、少なくとも恋心を持って誰かに執着したなんて話は聞いてない。 「あるよ?」 え・・・ 「うそ。」 「ホーント。オレ、ちゃーんとがスキだもん。」 褒めて、と言わんばかりにえへへ。と笑う今のカカシさんにはしっぽがついてそうな。 「・・・・お留守番出来たごほーび、何がイイですか?」 照れ隠しに、そう言うと いよいよカカシさんのしっぽが千切れそうに動く、んだろうな。と想像で思った。 「いいの?」 「恥ずかしいですけど、・・・・愛されてるなーって思ったら・・・・嬉しくなったので。」 「やった。んー・・・じゃあねぇ、の作ったメシがくいたいな。」 そんなのでいいのか。 でも、そういう当たり前の フツウっぽいのか、1番いい。 「りょーかい、です。」 カカシさんの口調を真似て、 ちょっと勢いにまかせてちゅーをして、私はキッチンへと向かった。 多分、その顔はもう真っ赤っか。 「からちゅー、されちゃった。」 その場に取り残されたカカシと、もう1つの存在。 とりあえず、オマエとは仲よくしとくよ。 クンクンと鼻をならして。 オレは天敵に近かった抱き枕に顔をうずめた。 のニオイでいっぱいの抱き枕に その抱き枕ごとを抱きしめて眠るオレも、のニオイなのかなぁ。と1人思うカカシ。 つられたのか、少しだけ埋もれた頬が赤かった。 一方的でも遠慮がちでもダメで。 お互いを許し合うことが愛と知るカカシと。 そんなカカシの目一杯の気持ちを改めて感じた。 まぁ、結局はしあわせな2人なのでした。 おしまいvv 当サイト至上、初の出来事です。 しゅうサマよりリクエストを頂いてしまいました!!!! なんていうか、そこまで作品を好いてくださったことにもう感謝感謝でございます(涙 ・・・・なのに、この程度でごめんなさいぃぃ(汗 一応、嫉妬の要素は取り入れてみたのですが 前回のイメージを壊してしまってたら申し訳ないです・・・。 自分で書いたくせに、それぞれがその場の勢いでやってますので 繋がってるかどうか自分でも怪しい仕上がりになってしまいました。 ううううむ。 でも久々にここまで長いのに取り組んだので、暴走できて楽しかったですw しゅうさん、これに懲りずに雨音にいらしてくださいね! この度はわざわざリクエスト頂き誠にありがとうございましたv |