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そのときの、感覚すべてで オレはきみを想うけど。 それはいつだって 心のどこかが、すこし痛いよ。 後ろ髪、ゆれて たいしてキツくもない任務終わりの夕暮れ時。 数分前まで一緒にいた子どもたちの面影など、今はどこにもない。 家までのわずかな帰り道、世界はオレとだけ。 だんだん冷たくなってきた風が、 オレと少し前を歩く彼女の間を冷やかすように通りすぎる。 「・・・さむっ。」 もともと猫背な背中を 思わずさらに丸める途中で、 その動きはボタンが押されたみたいに一旦停止した。 視線を上げた先で、愛しい彼女の髪がなびく。 夕焼けに照らされた横顔を 素直に綺麗だと思える気持ちを。 オレは歳を重ねるどの段階で置いてきてしまったんだろう。 「・・・・・・。」 ポケットに突っ込んでいた右手を、惜しげもなく冷気にさらして。 思わず伸ばせば簡単に届く、細い腕を掴んで歩みを止めさせた。 「あ、」 突然のことに驚いてカカシを振り返るの表情には 当然のように、不思議さが浮かぶ。 「カカシさん?」 特に意味はないその行動に どうにもこうにもごまかしようが、なくて。 意味がないワケじゃあ・・・ないんだけど。 気持ちは際限なく、ぐるぐるとしたまま。 「あー・・・・・」 結局オレは掴んだ腕を引き寄せて、 周りなんて確認もせずに 首にうでをまわして、かがんでその肩に顔をうずめた。 ・・・かっこわるい、オレ。 「えっ、ああああの!カカシさん?!」 焦りまくるなんて、この際完全無視。 っていうか、なんか恥ずかしいというか。 情けないというか。 「よゆーないなぁ、と思ってね。」 沈んでいく太陽に照らされるに。 胸がつまりそうなほど、感じた想いは 切なさひとつ。 だけどそれもたぶん、オレの全力の愛故にと思うと 自分の気持ちの大きさに少し途方にくれる。 笑っちゃうよね。 「泣きたいくらいスキだって言ったら困る?」 いつだって、 場所も雰囲気も全部無視した唐突すぎるオレの愛し方を。 きっとならなんのためらいもなく受け取ってくれる。 「キライだって言われても困りません・・・よ?」 あ、でも興味なくなったとかはさすがにへこむかも。 なんて言いながら、 強くなった抱きしめ返す腕の力。 見えない顔はたぶん困ったように笑っているんだろう。 わかってる。 不安なんていらないことくらい。 ごめんね。 こんなこと言わせるような男で。 だけど触れて、 言葉で 確認しなくちゃおさまらないのはやっぱり。 わかってないのかもしれない。 「んー・・・そんなの一生ありえないでしょ。」 そっと笑って 手をつないで ふたり並んで歩けたら、 オレの世界はきっと明るい。 短くてすみません。 些細なことだけど、ふとした瞬間の萌えな2人を書いてみました。 さすがに今月いっこも更新しないのは、ね。 ワタクシの心情的に許せなかったんですが どうにもこうにもやっちゃったかんじです。 読んでくださってありがとうございました。 |